23/02/11

すぐに開放しろ

【昨日の日記の続き】

【ケース② 固定ギアと化す後輪】
・事象:走行中、脚を止めた瞬間にリアディレーラーがもげた
・原因:後輪のフリーボディの固着
・製品:Mavic/Cosmic Carbon
・経緯:これはフレーム本体の破損にまで繋がってしまったケースです。
走行中に脚を止めたとき、後輪のフリーボディのラチェットギアが開放されず固定ギア状態になってしまい、リアディレーラーが強い力で引っ張られてもげてしまったのです。外れたリアディレーラーはフレームの右シートステーにめり込んでしまいました。
この事象でチェーンが外れるケースは過去にも見られましたが、フレームまで損壊してしまったのは当店では初めてでした。
(※写真のバイクとホイールは当該車両ではありません)

フリーボディとは後輪のカセットスプロケットを固定している円筒形のパーツで、走行中に脚を止めると”シャーッ”とか”カチカチーッ”と鳴ってるあれです。

この中にラチェットギアが入っていて、自転車を漕いでいるときは駆動力をしっかりと伝え、脚を止めるとラチェットがパッと開放されて「後輪は回っているけどスプロケとチェーンは止まっている」という状態になるわけです。しかしラチェットが瞬時に開放されないとこのような恐ろしいトラブルが起きます。

ラチェットがスムーズに開放されなかった原因はグリス切れと思われます。当該ホイールのフリーボディを手で回すと、明らかに渋い感触でした。ハブを開けてみるとグリスの油っ気が殆んど無く、汚れが付着して、鉄製のラチェットギアには僅かに錆びも浮いていました。

・対処:ラチェットを洗浄し、Mavic/ID360専用グリスを塗布
・結果:現在良好
・注意点:この症例はMavicのID360というしくみのフリーボディで起きましたが、他社のホイール(DT-Swissのスターラチェットなど)でも起こり得ます。
グリスアップを小まめに行いましょう。走行2~3千kmおき、雨天走行後、長期間放置後にはメンテが望ましいです。また洗車の際、高圧洗浄機はスプロケにかけないよう注意しましょう。
Mavic/ID360とDT-Swiss/スターラチェットは工具不要で分解~クリーニング~グリスアップできます。
塗布するグリスは必ずホイールメーカー指定のものを使いましょう。適当なグリスを塗ると症状が悪化します。MavicとDT-Swissの指定グリスは常時在庫しております。

当店で昨年起きた初見のメカトラブルは、他にも「シーラント剤が原因でスポーク折れ」なんてケースもありました。
レアケースだけどお客様にも知っておいて欲しい症例、ときどき起きます。これからも紹介して行こうと思います。

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