21/12/24

“電動モビリティ”の時代

昨日のニュースで報じられた「電動モビリティに関する道交法改正案」は自転車屋としてはかなり衝撃でした。ニュースでは「電動キックボード」についてばかり言及していますが、電動モビリティ全般に関する道交法改正案なので自転車業界にも大きな影響があるはずです。
この試案を要約すると…
・免許不要
・ヘルメット不要
・年齢制限(16歳以上)
・要 ナンバープレート
・要 自賠責加入
・原則 車道通行
・歩道走行可
・最高速度 車道20km/h、歩道6km/h
早い話が「漕がなくても進む自転車みたいなのに乗れる」ってことです。…う~ん、自転車ショップとしても自転車ユーザーとしても不安が募ります…

【自転車屋への影響①】
この改正案のとおりに施行されると、ママチャリと電動アシストママチャリがピタッと売れなくなるでしょう。今まで自転車を「移動の手段」として使っていた皆さんは自転車から電動モビリティに乗り換えると思います。だって漕がなくても進んでくれるんだから。しかもママチャリと同じくらいの速度で走って、ノーヘル・ノー免許証で乗れて、歩道も走れるんだから。
時速24km/hで電動アシストが止まってしまう電アシ車もメリットを感じられなくなり、販売台数が激減するでしょう。
自転車を「スポーツの道具」として楽しんでくださる皆さんにはあまり影響ないと思いますが、「足替わり」として購入されていたクロスバイク・入門グレードMTBなどはやはり販売台数が減ると思います。

【自転車屋への影響②】
我々自転車屋も「電動モビリティ」を組立・販売・整備・修理することになるかもしれない。となるとナンバープレート発行・自賠責加入手続き・名義変更などの事務処理も我々が行うことになるでしょう。
電動モビリティについての技術的・法制度的・倫理的な知識が自転車屋にも求められるようになります。

【懸念点①】
この改正案のとおりに施行され、電動モビリティが道路を走るようになったら、おそらく大混乱でしょう。
時速20kmで歩道の真ん中・車道の真ん中を爆走。右側通行で車道脇や歩道を爆走。2~3台並走で歩道を爆走。スマホ片手に歩道を爆走。もちろんノーヘルで爆走。なんて光景が街のあちこちで見られるでしょう。何故なら、現在、自転車ユーザーにこのような乗り方の人が多いからです。
深刻な事故が多発しないことを祈ります。

【懸念点②】
品質の怪しい電動モビリティが通販で激安で売られ、トラブルが多発するでしょう。そしてこのような粗悪車両の修理・組立・点検・調整の作業依頼が激増するでしょう。
我々自転車ショップはこの時にどう対応するかを決めておかなければなりません。
当店は請けたくないですね。大きな事故に繋がったとき責任を負えません。

私は二輪車が大好きで、自転車はもちろんのことモーターサイクルにもEバイクにも乗っているので、個人的には新しい”電動モビリティ”っていうのが楽しみです。しかし自転車ショップとして見ると「新しい商材」としての期待よりも不安のほうが大きくなってしまいます。自転車屋も時代の流れに付いて行くのが大変です。
そしてユーザーの皆さんにも、スポーツ自転車・ママチャリ・電動モビリティを問わず乗り手のモラルが問われる時代が来るようです。

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