お客様KさんのScott/Addictです。今回はコンポ載せ替えでお預かりしました。当店でコンポーネントグレードアップの御依頼を頂いたのは久し振りです。
「”105″2×11速 機械式変速 油圧ディスク」から「アルテグラ 2×12速 Di2変速 油圧ディスク」へ載せ替えです。これで総予算33万円です。毎度ありがとうございます。
コンポ載せ替え案件、4~5年くらい前までは頻繁に御依頼を頂いていたのですが、2×12速に移行した頃からパッタリと仕事が来なくなりました。今年はこのKさんのAddictがまだ3件目です。
「リア10速→リア11速移行」や「リムブレーキ→油圧ディスクブレーキ移行」の頃は作業依頼が多かったので常にパーツを在庫していましたが、今では店頭在庫はただのリスクです。コンポ載せ替え依頼はスポーツバイクショップの大事な収入源ですから、その仕事が激減したのは痛手です。昔は良かった…
「昔は良かった」と懐古ばかりしている駄目なオッサンにはなりたくないので、「何故こうなってしまったのか」と「どうすれば良いのか」を考察してみましょう。「日本が不景気」と片付けるのは簡単ですがそれだけが原因では無いはずです。
私が思うに「費用対効果への疑問」ではないでしょうか? シマノのコンポは値上げを繰り返し、”105″Di2載せ替えは25万円くらい、アルテグラDi2載せ替えは35万円くらい掛かるようになってしまいました。「コンマ1秒でも速くゴールしたい」と頑張るガチ系ホビーレーサーなら高性能コンポが必須ですが、「楽しく走りたい」「ラクに走りたい」と言うファンライド系一般ユーザーの皆さんはどうでしょうか? 「俺の2×11速のバイク、30万円かけて2×12速にしてどのくらい速くなるの?楽になるの?」と疑問に思う方は多いでしょう。「リア11速のままで良いや」「リムブレーキで良いや」「Di2じゃなくても良いや」と現状に満足しているユーザーはコンポ載せ替えに30万円出してくれません。
ではどうすれば良いのか? もっとファンライド系一般ユーザーに寄り添ったパーツを作ったほうが良いんじゃないかと私は思います。例えば「より安価な油圧ディスクブレーキコンポ」とか「9~11速まで互換するDi2コンポ」とか「13-38Tのスプロケ」とか「まともに効く機械式ディスクブレーキ」とか「リムブレーキDi2もワイヤレス化」とか…
スプロケの板の枚数を増やせばコンポを買い換えてくれるっていう時代は終わったと思います(フロントシングルなら別だけど)。皆さん、自分のバイクにどの程度の性能が必要かをちゃんと分かってるんです。
こんなこと優秀なシマノのエンジニアなら百も承知でしょうけど、多くのユーザーが本当に求めている製品を開発して、冷え切った市場を活性化させて欲しいと願うじて吉です。
KさんのAddictと関係ない話をだらだら書いちゃいましたが、こちらのAddict30は今回のコンポ載せ替えに加えてホイールもMavic/Cosmicに履き替え、タイヤもチューブレスを嵌めているので吊るしの状態からかなり性能UPしています。草レースでもロングライドでも楽しく走れるでしょう。生まれ変わったAddictを楽しんで下さい。