長年お店をやってきましたが、未だに初見のメカトラブルに出会います。「こんなことが起きるのか」「故障の原因はこれだったのか」と驚くような初めて見る事象です。日々学びです。
今日と明日の日記ではそんなメカトラブルのうち、お客様と情報共有しておいたほうが良いケースを紹介します。昨年起こった2つの事象です。
【ケース① 勝手に緩む調整ボルト】
・症状:リア変速不具合
・原因:リアディレーラーのアジャストボルトの緩み
・製品:シマノ”105″
・状態:酷使(年間1万km以上走行)
・経緯:お客様は上級ブルべを走るヘビーユーザーですが、走行5千km毎にオーバーホールに出してくださり消耗品は適宜交換してコンディションを保っています。しかしリア11速が正常に動作しなくなって持ち込まれました。
これは原因究明に手こずりました。変速ケーブルの弛み・ほつれ・絡み、RDハンガーの歪み・固定、RDケージの歪み、チェーンの摩耗・捩れ、スプロケの摩耗、プーリーの摩耗、STIレバーのラチェット、フリーボディのラチェットなど散々遠回りしてから、やっと「アジャストボルトが勝手に緩んだ」と気付きました。
リアディレーラーには3本のアジャストボルトがありますが、これが勝手に動くのは今まで見たことが無かったので故障原因から完全に除外してしまったのです。思い込みは良くないですね。
「Low側インデックス」の調整ボルトが緩みすぎるとチェーンが内側に落ちてしまいます。酷いときはリアディレーラーがホイールに絡まる深刻なトラブルに繋がります。
「Hi側インデックス」の調整ボルトが緩みすぎるとチェーンが外側に外れてしまいます。
「Bテンション」の調整ボルト(エンドアジャストボルトとも呼ぶ)が緩み過ぎると、スプロケとガイドプーリーが近寄りすぎてチェーンが詰まり、ローギア近辺で不具合を起こしたり異音が出たりします。
・対処:アジャストボルトに緩み止めを塗布
・結果:現在良好
・注意点:御自分で緩み止めを塗る際は青いロックタイトを塗布して下さい。赤いロックタイトではボルトが完全に固着されてしまいます(”調整ボルト”なので動かないと困る)。
滅多に起きないトラブルだと思いますが、たくさん走る人なら起こり得ると思います。ちょっと覚えておいて下さい。
【明日の日記に続く】